※この記事は2020年に書いたものです。制度や数字は、その後に変わっている場合があります。
大家のプーさんです。
法人化の話をすると、必ずと言っていい程聞かれることがあります。
「いつ法人を設立したら良いですか?」
「法人を設立して、軌道に乗せられるか不安です」
設立を考えた方が良いのは、どんな人か
数字で言えば、ご自身の今の年収が900万円を超えているか、家賃の年間CF(キャッシュフロー)1,000万円を目指すと決めたときだと思います。
ただ、今回は数字ではなく、心構えの話をさせて頂きます。数字の目安は分かっている、それでも不安だ、という方に向けて書きました。
貯金が500万円以上になったら、設立してみる
今の年収が上の数字に達している方、もしくは年間CF1,000万円を目標にしている方は、あれこれ考えすぎずに、貯金が500万円以上ある状態になったら、法人を設立してみて下さい。
このときの設立のポイントは、次の2つです。
- 資本金を1万円にする
- 購入予定の物件がまだない場合は、決算月をできる限り一番後ろに設定する
どちらも、やめるときのリスクを最小にするためです。資本金は、軌道に乗ってきたら後から変えれば済みます。
1年以内に買えなければ、休眠会社にすれば良い
万が一、1年以内に物件を1つも買えなかったら、買えるまでの間は「異動届出書」を提出して、休眠会社にすれば良いです。そうすれば、お金は特にかかりません。
登記にかかったお金が、休眠会社という形で眠っているだけ、ということです。
休眠会社にならずに済めば、ひとまず一歩進めたことになります。
もし休眠会社になってしまっても、1年の時間がありながら物件を1つも買えなかった自分に、本気で火をつけるきっかけになります。或いは、不動産は自分に向いていなかったとわかれば、法人の設立費用(合同会社なら10万円弱)の勉強代で済みます。
何故、ここまで法人化をおすすめするのか
例えば、年収500万円以下の方が年間CF500万円を目指すなら、個人名義で取得すれば良いと思います。税金で損をするラインには届かないからです。
ただ、冒頭でお伝えした年収や、目標の年間CFに当てはまる方は別です。
そういう方には、いずれ法人化を迷うときが必ず来ます。一度個人で取得した物件を法人名義にするには、代表者が自分であっても、登記費用と不動産取得税を払う必要があります。
これは、本当に無駄な出費です。
人生の節目も、準備しきれないまま迎えています
とはいえ、法人の設立に踏み切れない方もいらっしゃると思います。そういうときは、ご自身のこれまでの人生を思い出してみて下さい。
小学生から中学生になるとき、何か特別な準備をしたでしょうか。
お子さんがいる方は、親になるにあたって、特別なスクールに通ったり、何かの関門をクリアしたりしたでしょうか。
初めて飛行機に乗ったとき、墜落に備えてパラシュートを使う訓練をしたり、万が一に備えて非常食を腰につけたりして乗ったでしょうか。
気がつけば、人は小学生から中学生になり、更に歳を重ねて大人になります。子供が生まれた瞬間に親になって、おむつを替えたり、授乳をしたりします。
飛行機は、もっと極端です。法人とは違って墜落のリスクすらある乗り物なのに、「旅行、楽しみだな」と言いながら、墜落したときの備えもせずに、気軽に乗り込んでいます。
法人の設立も同じで、とにかくやってみれば良いと思います。
失敗しても、最悪10万円の勉強代です
失敗したとしても、合同会社の設立なら10万円の損失です。パーソナルジムに通うのより安いくらいです(もちろん、10万円も大切なお金ですが)。
命を取られるわけではありません。「休眠会社にできる」ということを知っておき、決算月までに物件を1つ買うことだけを決めておけば、先程お伝えしたとおり、最悪でも10万円の勉強代で済みます。
「社長」になることも、大きな経験です
法人設立には、もう一つのポイントがあります。「経営者」であり、「社長」になれることです。
資本主義の世の中で生きていく上で、これは大きな経験になると思います。
一人社長であっても、経営は経営です。従業員が増えたときの難しさとは同列に比べられませんが、それでもこの一歩は、自分を成長させてくれるはずです。
人間的にも、試されます
そして、人間的にも成長させてくれます。
経営者は、お金を持つと誘惑が増え、人生を狂わせることがあると言われています。
私が本格的にビジネスをしていた頃の経験でも、若くしてお金を手にした経営者は、たいていこれで失墜していきました。
ただ、私はそれも良いと思っています。失敗は、早いうちにしておくべきです。
ステージが進むにつれて、必ず暗い面が現れます。
私自身、比較的大きな仕事を何件も手がけ、周りから少しずつ存在を知られるようになった頃、たかが一人社長なのに「社長、社長」と、何かの含みを持って呼んでくる人たちが現れました。お金の使い方を誤らせるような誘いが来たこともあります。
私の周りで、1〜3人でやっていた会社の、社長とも言えない「社長連中」の中には、これに会社のお金をつぎ込んで破綻した人もいます。
「社長とも言えない『社長連中』」と、あえて辛辣な言い方をしました。この記事を読んで下さっている方には、同じような場面に出会ったときにこの言葉を思い出して、気を引き締めて頂きたいからです。
「社長」と呼ばれて、偉くなったと錯覚しないこと
「社長」と呼ばれていると、最初のうちは、何か自分が偉くなったような気がします。私も、そういう錯覚に陥りました。
会社を設立すると、その世界で豪遊したり、人を見下したりする人たちもいます。お金を手にすると見た目が変わる、典型的なタイプの人たちです。
人間力を磨くには、それなりの性格や忍耐力が要ります。いずれ当たる壁には早めに当たって失敗しておくか、私があえて辛辣に書いた言葉を思い出して下さい。
失礼ながら、私は、1人会社の社長になって従業員がいないからと、知らない人に偉そうにする不動産会社の「社長」を軽蔑していました。
その一方で、1人会社の社長として汗をかきながら日々頑張り、他の人や他の会社の人と共存しながら生きて、家族とたまにおいしいご飯を食べに行く。そんな一人社長を尊敬していました。
私が何をお伝えしたいのか、分かって頂けるかと思います。
自分をコントロールできることが、財産になります
そういった局面で、うまく自分の心をコントロールしながら進んでいくことは、人間力を鍛えることにつながります。
私は、この心のコントロールができるようになったことが、今、家族と毎日在宅で過ごせていることの次に大きな財産だと思っています。
人は心に始まり、心に終わると思います。自分をコントロールできない人は、いずれ全てを失います。
経営の感覚は、経営してみなければ分かりません
そして、「経営感覚」を身につけること。これは、実際に経営してみなければ分かりません。
私は、ポジションとやる気が人を成長させると考えています。この記事が、一歩を踏み出すきっかけになればと思っています。
※ 法人の設立や休眠、税金に関する内容は、この記事を書いた当時の一般的なものです。個別の事情によって扱いが変わりますので、実際の判断は税理士・司法書士など専門家に相談して下さい。
