相続や転勤、あるいは小さな物件を買って、大家になったばかり。何から手をつければいいのか分からず、不安になる方は多いです。
最初の1年にやっておくと2年目からが楽になることを、順番にお話しします。
■ 最初の1年は「把握する」年
最初の1年は、増やす年ではなく「把握する」年です。
書類を1か所に集め、毎年来る予定と部屋ごとの更新時期を1枚の表にします。
あとは月に1回、入金と管理会社の報告を見るだけで十分です。
■ 大家の仕事の中心は「期限のあるもの」
大家の仕事というと、毎日たくさんあるように思えます。でも中心になるのは、「期限のあるもの」を落とさないことです。たとえば、次のようなものです。
- 火災保険の満期(保険の期間が終わる日)
- 消防点検(建物の消火器や火災報知器などを確かめる点検)
- 契約の更新(貸し借りの期間が終わるときに、続けるかを決める手続き)
- 確定申告(1年分の所得を計算して、税務署に届け出る手続き)
どれも毎月あるものではありません。年に1回や数年に1回しか来ないので、慣れないうちは忘れやすいです。
管理会社(家賃の集金や入居者とのやりとりを代わりに行う会社)に任せている方も多いと思います。それでも、時期は自分でも把握しておきます。担当の方が替わったり、連絡が遅れたりすることもあるからです。
もう一つの理由は、最初の1年の記録が、そのまま次の判断の材料になることです。家賃がいくら入り、何にいくら出たか。それが分かっていると、修繕や空室のときに慌てずに済みます。
1年分の記録がそろってから考えても、遅くないことがほとんどです。
■ 1年のうちにやること
- 書類を1か所に集めます。まずは、売買や相続のときの書類と、入居者との賃貸借契約書(部屋の貸し借りの契約書)です。あわせて、管理会社との契約書、火災保険の証券、固定資産税の通知書もまとめます。紙なら箱を1つ、データならフォルダを1つで十分です。
- 部屋ごとの一覧を作ります。部屋番号、家賃、契約の始まった日、契約期間、次の更新日を書きます。
- 毎年の予定を書き出します。保険の満期、点検、確定申告の準備、固定資産税の通知などです。前回いつだったか分かるものは、その日付も書いておきます。
- お金の流れを分けます。家賃の入る口座と経費を払う口座は、できれば生活費と分けます。領収書は月ごとに封筒やフォルダにまとめておくと、申告の準備が楽になります。
- 月に1回だけ見ます。家賃が予定どおり入ったか、管理会社の報告に気になる点がないか。入居者からの連絡や修繕の相談があれば、その内容もメモしておきます。最初はここまでで十分です。
- 1年たったら見直します。確定申告の準備のついでに、表全体を見直します。家賃の相場や、保険・管理の内容が今のままでいいかも、このときに考えます。
■ 1年目にありがちなこと
- 保険の証券は、しまったまま忘れてしまいやすいものです。届いたら、満期日をすぐ表に書き写しておきます。満期が切れたまま被害にあうと、補償を受けられないおそれがあります。
- 「管理会社に任せたから大丈夫」と思いがちです。任せるのは作業で、時期の把握は自分の手元にも置いておくと、二重の確認になります。
- 最初の年から、設備の入れ替えやリフォームに手を出してしまう方もいます。本来は1年見てからのほうが、どこが本当に傷んでいるか判断しやすいです。雨漏りや水漏れのような急ぎの不具合は、もちろん別です。
■ 年間カレンダーの表があります
無料テンプレートのコーナーに、「賃貸管理 年間カレンダー&更新管理表」があります。この記事の手順2と3を、そのまま表にしたものです。
「年間カレンダー」のタブには、毎年の予定が、頻度と時期の目安つきで並んでいます。たとえば次のような行です。
- 火災保険・地震保険の満期確認
- 消防点検
- 貯水槽の清掃点検
- 家賃相場の見直し
- 確定申告の準備開始
- 固定資産税の納税通知の確認
建物によっては要らない行もあります。エレベーターや浄化槽のように、ない設備の行は空けたままで構いません。
「更新管理表」のタブには、部屋ごとに書く欄があります。部屋番号、契約開始日、契約期間、次回更新日、更新意思の確認状況の5つです。次回の予定日は自動では計算されないので、前回の日付と目安を見ながら、自分で決めて書き込みます。
■ よくある質問
Q. 管理会社にすべて任せています。それでも表を作ったほうがいいですか?
A. 作っておくと安心です。管理会社からの報告と照らし合わせるだけでも、連絡の遅れに気づきやすくなります。
Q. マンションの1室だけでも、やることは同じですか?
A. 建物全体の点検などは、管理組合(所有者みんなで作る管理の集まり)が行うことが多いです。大家が自分で見るのは、保険・更新・確定申告・固定資産税あたりが中心になります。表の中から、関係のある行だけ残して使えば十分です。
Q. 確定申告は自分でできますか?
A. 物件の数や収入の形によって、手間も判断も変わります。最初の年は、税理士に一度相談してから決めて下さい。
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